天竜区の山の中で家具を作る人

秋雨の降る日、天竜区西藤平にある「ひかべ家具製作所」を訪ねた。西鹿島から県道9号線を北西へ、上阿多古地区落合の集落を右へ入り県道296号線を進むと小さな「ひかべ家具製作所」の看板が見える。

橋を渡りさらに奥へ進み、もう1度看板が見えればすぐ工房だ。山奥の工房は、そこに行くまで気持ちがワクワクと高ぶる。

広い工房と、きちんと整理された工具から職人の気質が伺える。「ひかべ家具製作所」の日下部さんは天竜区上阿多古に家具工房を立ち上げて7年になる。

家具製作の基礎を長野県松本市で学び、その後家具職人に必要な幅広い視野を得るため、天竜森林組合では山のことを学ぶ。木の切り方、材料の使い方、山の環境についても身につけた。

日下部さん曰く家具製作で最も大切なことは「引き算」であるという。例えば足し算を行い家具に多くの装飾を施すことは簡単に出来る。しかし引き算をし、質素なデザインの中に実用的な強度、使いやすさ、美しさを作り上げる事は非常に難しい。

形がシンプルになればなるほど引き算することが難しい。あらゆる家具は必然から現在のカタチになっている訳で、そのカタチに少しだけデザインを加え家具を製作している。

また学生時代からアジアの国々を旅し、幅広い視野から得た経験も家具に影響を与えているのではないかという。

近いうちにクラウドファンディングを利用して、ネパールの小学校を訪問し不足している家具の製作するプロジェクトを考えている最中だそう。とても山の中の家具職人とは思えない視野の広さだ。

天竜区は殆どが人工林だ。その素材を活かす方法は遠州地方の魅力としてまだまだある。

日下部さん曰く「ここで生まれ、ここで育ち、今の自分が居ることは間違いない。この豊な環境で林業家や山主と共に、魅力あるプロダクトを製作できれば」と今日も木に向き合い家具を作り上げている。

日下部家具製作所
浜松市天竜区西藤平383-3
http://hikabe-kagu.jimdo.com

ABOUTこの記事をかいた人

民間企業で工業デザインを行なったのち、青年海外協力隊村落開発普及員としてフィリピン共和国レイテ島町役場で街づくりを行なう。 帰国後、地域おこし協力隊として浜松市天竜区で活動。都市部から移住者を斡旋する移住コーディネーターとしても天竜区で活動した。