窓際【空き家バンク】

つちだ
窓際【空き家バンク】
静岡新聞”窓辺”の連載が終わりました。不定期コラムですが、窓辺でなく窓際を行います。窓際に合ったギリギリの事をお伝え出来ればと思います。

仕事と住まい

移住を検討する際に「住まい」と「仕事」は重要であり、住まいが決まらなければ仕事は見つけにくく、仕事が決まらなければ、日々の生活が成り立ちません。

住まいを探す際は移住希望先の不動産会社へ相談し、空き物件を探す事が一般的ですが、全国の地方自治体が取り組みを進める「空き家バンク」を活用し、住まいを探す移住希望者もいます。

空き家バンクとは地方自治体が行うマッチング制度です。借りたい、貸したい、売りたい、買いたい人をマッチングさせる事が目的であり、地方自治体が運営している以上、情報の信頼度は極めて高いです。また、地元の不動産屋が掲載していないような意外な物件も時々登録されています。地方自治体により取り組みは異なりますが、登録までの流れは大体同じです。

メリットとデメリット

ここまで記載すると、空き家バンクを活用して住まいを選んだ方が良いと思いますが、デメリットも存在します。それは「なぜこの物件は空き家バンクに登録されているか?」を考える事が大切です。

通常、家を売りたい、貸したい家主は不動産会社に申し込み、不動産会社経由で交渉します。家主は手間がかからず、住まいを探す方は物件情報を不動産会社のHPや店先で確認できます。しかし、あえて訪問者が少ない地方自治体のHPに掲載し、なおかつ詳細情報も記載してない空き家バンクの物件には理由があります。

それは、不動産会社に空き家情報を掲載した場合、誰が購入するか分かりません。確かに希望価格で売れるかもしれませんが、購入する方が家を大切にする方なのか、広い庭の草刈りを毎月行ってくれる方なのか、近所付き合いを行ってくれる方なのか分かりません。
田舎(中山間地域)の家や古民家と呼ばれる築100年以上経過した家は、年の数だけご近所との深い関わりがあります。何十年続いてきた(場合によっては100年以上続いてきた)関わりを、家を売ったからといって疎かにすることは出来ません。

そのため、本当に信頼できる移住希望者に貸したい、地域のために働いてくれる移住希望者に貸したい、長く住んでもらうため、御年配者でなく子育て世代の若者に貸したい。など、文章では記載されてない条件が多々あります。

それではどうすれば良いのか?

空き家バンクに登録されている物件ありきで家を選ぶことは、その後がとても大変になるかもしれません。借りる家のルールや空き家が所在する自治会の取り決めなど把握し、地域の方と親しくなった上で空き家バンクに登録されている物件を選んだ方が、移住する際にトラブルも無く移住できると思います。

空き家バンクはあくまで参考。住みたい地域の方や住みたい地域事情を知った上で、その地域に空き家バンクに登録されている物件があれば「ラッキー」と思う心掛けが大切です。しかし、そこまで地域と関わりを持てば、知らずとも地元の方から空き家を紹介されたり、何らかのアクションがあると思います。空き家バンクと不動産会社との違いが何となく分かっていただければ幸いです。

ABOUTこの記事をかいた人

民間企業で工業デザインを行なったのち、青年海外協力隊村落開発普及員としてフィリピン共和国レイテ島町役場で街づくりを行なう。 帰国後、地域おこし協力隊として浜松市天竜区で活動。都市部から移住者を斡旋する移住コーディネーターとしても天竜区で活動した。