地域おこし協力隊

2013年10月1日から2016年3月31日まで地域おこし協力隊(浜松山里いきいき応援隊)として浜松市天竜区で活動しておりました。活動の拠点は天竜区熊地区の「道の駅くんま水車の里」。くんま水車の里は平成元年に農林水産際の村づくり部門において天皇杯を受賞しており、地域でご活躍している最前線の方からまちづくりについて学び活動しました。ここでは2年半の活動について記載したいと思います。


活動1年目


↑着ぐるみを着てテレビカメラに映る土田

JICAボランティアで利用した隊員活動計画書を用いて、目標・目的から年間活動計画を決め、月ごとに行なうべき活動を定めました。
活動計画表(Excel)

隊員活動計画書を用いて目標と目的を決めましたが、活動1年目はその通り活動しませんでした。なぜならば、昨年まで外国で働いていた若者が、日本の中山間地域(田舎)のご年配者に「こうしたら街が良くなるよ」「こんな企画を実行したら収入が上がね」など説明しても、恐らく誰も協賛してくれません。


左:厚生会祭りで五平餅を焼く 右:熊地区祭典

そのため、地域おこし協力隊1年目は地域の物産展、産業際、祭典、運動会などへ積極的に参加し、新聞やテレビに取り上げて頂きました。とにかく顔と名前を覚えてもらうことが大切です。なぜならば、物産展や産業祭は自治会長や商工会、観光協会の方々が参加し、ときには地域の重鎮が参加します。
そのような方々に顔と名前を覚えてもらえれば、2年目以降の地域おこし協力隊活動がやりやすくなると思いました。また、相談相手も増えると考え、なるべくイベントに参加しました。

活動2年目

1年目、多くのイベントに参加し、様々な相談を受けました。例えば「過疎化・少子化」「林業の後継者不足」「空き家の増加問題」「学校の統廃合計画問題」など地域相談を受けるようになりました。これらの問題は、全て人口減少が原因ですが、人が関わる地域の問題はそれだけではありません。表面的に見える問題がありつつ、とても複雑な人間関係や地域の歴史や文化も交じり合っていることが多いのです。

そうは言っても、人が減ることによって、集落の活力が低下している事は事実でした。そこで最終的な目標として「人口減少対策」を掲げたのですが、勝手に人は増えませんし、天竜区は高齢率が高く自然減も多い地域です。そのため他所から地域の担手になってくれ、尚かつ起業してくれそうな優秀な人材を取り込めれば良いと考えるようになりました。

しかし1度も訪れたことのない地域に、移住希望者は家族を連れて訪れることはありません。地域に定住する際は、下見や情報収集が欠かせないと感じました。そのため地域おこし協力隊のときには地域の「PR」や都市部との「交流」に力を入れて活動するようになりました。

PR、交流活動を行なう


まず、熊地区のマップを新しく作りなおしました。マップ「作り」は簡単ですが大切なことはマップを作る際に「誰に聞き」「何を入れ込み」「いつ報告するか」が大切です。デザインするよりも内容を重視する事に時間をかけました。良いデザインは誰でも出来ますが、使われるマップを作ることの方が大切です。


同時に熊地区のゆるキャラ「くぅちゃん」をデザインしました。当時は空前のゆるキャラブームであり、1地域に1ゆるキャラが存在しても良いと思いました。そして熊地区とゆるキャラの宣伝を兼ねてLINEスタンプとして登録しました。

LINEスタンプ遠州弁上級者向けスタンプ くぅちゃん
LINEスタンプ遠州弁上級者向けスタンプ 走り屋くぅちゃん

なお、LINEスタンプの売上は中山間地域の保全活動としてNPO団体に入ります。「絶対コア過ぎるので売れないだろうなぁ」と計算してましたが、以外と売れ、20万円〜30万円の売り上げを記録しました。

また、道の駅くんま水車の里の横断幕を作ったり、今まで焼き印が無かった饅頭に焼き印を付けたり、SNSで宣伝効果を出させるように勉強会を行ったり、顔出し看板を作ったりしました。PR効果に繋がる取組みは積極的に行いました。

地元大学生と中山間地域支援サークルを作る

大学生と農山村地域が交流・調査を行なう機会は多く見受けられます。最も大切なことは「どように持続させるか?」ではないでしょうか。1年限りの交流や、1回だけの交流、大学生が卒業するまでの交流は時々見られます。しかし、限りある交流が、結果として地元の方が疲れてしまったり、良い関係を築けても、大学生が卒業してしまい交流が無くなるなど、どのように交流を持続させるかが問題でした。

そこで静岡文化芸術大学の学生と共に北遠密着型サークル(通称:La-Voc)を作ってもらい、サークル内で世代交代が行なわれる体制を作ってもらいました。活動については彼らのfacebookが参考になると思います。

地域の方の心が動く

浜松市市街地から天竜区熊まで公共交通機関を使用しますと、片道1,160円(往復2,320円)掛かります。私鉄とバスを利用しますが、上手く乗り継いでも1時間30分掛かります。お金、時間共に負担であり、お金の無い学生にとって2,320円は決して安くありません。熊地区に行って帰るだけで、これだけ「お金」と「時間」が掛かる事は地元の方を含め、多くの方が心配していました。しかし、大学生が4回、5回と熊地区に通ったところ、少しづつ地域の方が理解を示すようになり、少なくとも「遊び半分や適当な気持ちで熊まで来ている」という理解がなくなりました。

学生が何度も地域を伺い、自分の力でサポートできる地域課題を見つけることができました。

何十年間も変わらなかったモノが変わる

 

学生の成果の1つとして丸芝製茶協同組合のお茶パッケージデザインが上げられます。これは何十年も変わらなかったお茶パッケージを大学生がデザインしたものです。何十年も変わらなかった、変えられなかったパッケージには多くの理由があります。パッケージを変更するにあたり、お金も労力も時間もかかります。デザインすることは簡単です。しかしデザインするに至る迄がとても大変であり、さらに社会人経験の少ない学生が、3倍以上年齢が離れた方と意思疎通取合い提案をすることは、とても難しいことです。

これを行なう際にとても大切なことはデザイン提案を行なうまでの関係づくりや過程です。仕事上の付き合いではありません。お互い「地域を良くする」という共通ゴール点が無ければなりません。私は調整役と機会を与えただけですが、フレキシブルに動いてくれた学生と、20年後、30年後の茶業界を考えパッケージ変更してくれた丸芝製茶協同組合の先見の明には感服します。

オーライ!ニッポン大賞を受賞する

地域おこし協力隊では「PR」と「交流」に力を入れ活動してました。活動期間は2年6ヶ月。その間に深く関わっていたNPO法人夢未来くんま(道の駅くんま水車の里)が農林水産省、オーライニッポン会議が主催する第13回オーライニッポン大賞することができました。苦労して応募書類を作ったことが良い思い出です。くんま水車の里が昔から行なってきた村づくりの経験や地元大学生との関わりを国が評価してくれたことは嬉しい限りです。

オーライ!ニッポン大賞を受賞したとき、私は地域おこし協力隊として2年4ヶ月目でした。私の任期は2年6ヶ月であったため地域おこし協力隊としての大きな仕事はこれで終りにし、翌月(2016年3月)活動報告会を開き退任しました。

浜松市中山間地域移住コーディネーターとして採用される

このまま終り・・・と思いきや、2016年4月1日より浜松市中山間地域移住コーディネーターとして採用されました。地域おこし協力隊としては「PR」や「交流」に力を入れておりましたが、本来の目的は地域の方が暮らしやすい環境作りのための課題解決です。課題解決の1つの案として地域の担手になる移住者を増やすことです。移住コーディネーター事業は全国的に見ても多くの市町村で行なっておりません。しっかりと後任に任せられる環境作りを行い、きちんと実績を残していきたいですね。移住コーディネーターも2年半〜3年を考えており、より地域が良くなるような取組み(政策)を行なっていきたいですね。